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ひとりの最期  文・亀田考明

身寄りのない人が亡くなったら、誰が対応するのか

家族がいない、いても連絡がつかない。そんな人が亡くなったとき、火葬や財産の整理は誰が担うのか。法律が用意している仕組みを整理する。

この記事の要点

  • 火葬する人がいないときは、亡くなった場所の市町村長が火葬を行う(墓地、埋葬等に関する法律9条)
  • 相続人がいない場合、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が財産を整理し、残りは国庫に入る
  • 遺言や死後事務委任契約で、生前に死後のことを託しておける

火葬は市町村が行う

亡くなった人を埋葬・火葬する人がいない、または分からないときは、亡くなった場所の市町村長が火葬を行うと、墓地、埋葬等に関する法律(9条)に定められている。身元が分からない人が旅先などで亡くなった場合は、行旅病人及行旅死亡人取扱法にもとづいて市町村が対応する。

火葬の費用は、本人の遺したお金があればそこから充てられ、足りなければ公費で負担される。引き取り手のない遺骨は、市町村などが一定期間保管したのち、合葬されることが多い。

財産は「相続財産清算人」が整理する

相続人がいない、または全員が相続放棄をした場合、家庭裁判所が「相続財産清算人」を選ぶ(民法952条)。2023年4月の民法改正で、それまでの「相続財産管理人」から名前が改められた。清算人は、借金の支払いなどを済ませ、残った財産は最終的に国のものになる(民法959条)。

ただし、清算人を選んでもらうには申し立てと費用が要る。財産が少ない場合、手続きが進まず、部屋や家財がそのままになってしまうこともある。

部屋はどうなるのか

賃貸住宅であれば、契約の解除や家財の処分ができる人がいないまま、大家さんが困ることになる。2021年に国が示した「残置物のモデル契約条項」は、こうした事態を防ぐために、生前に受任者を決めておく仕組みだ。

決めておけることは、意外とある

身寄りがなくても、死後のことを託す方法はある。遺言、死後事務委任契約、受任者の指定。誰に何を頼むかを生きているうちに決めておけば、亡くなったあとの部屋や財産が宙に浮くことは避けられる。

よくある質問

身寄りのない人が亡くなったら火葬は誰がしますか
埋葬や火葬を行う人がいない、または分からない場合は、亡くなった場所の市町村長が行います(墓地、埋葬等に関する法律9条)。
相続人がいない人の財産はどうなりますか
家庭裁判所が相続財産清算人を選び、債務の支払いなどを済ませたあと、残った財産は国庫に帰属します(民法952条・959条)。
身寄りがなくても死後のことを準備できますか
遺言、死後事務委任契約、賃貸住宅の残置物に関する受任者の指定などで、生前に託しておくことができます。

出典・参考

  • 墓地、埋葬等に関する法律 第9条
  • 行旅病人及行旅死亡人取扱法
  • 民法952条(相続財産清算人の選任)、959条(残余財産の国庫への帰属)
  • 法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(2021年6月7日公表)
亀田考明(死後活 編集長/「死後活」提唱者)。元読売新聞記者。遺品整理・特殊清掃の会社で経営に携わりながら、孤独死や廃棄物の現場から発信している。業界誌「月刊廃棄物」で「家財整理という生活支援」を連載中。

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